第99回 犬千代日記

　　ケンの性格分析の巻き

ケンは日本スピッツの雄で千代と

同じ13歳で大往生した。

生まれつき心臓が弱く長生き

できないといわれていた上に

2歳のころに交通事故に遭い

下半身が麻痺になってしまった

そのため私たちもケンは甘やかして

育ててしまった。怖いものなしの

その前向きな生き方には随分

困らされもしたが、同時に励まされたのも

事実である。なにしろ勝気で何事に

関しても積極的。のんびりやで生きる気が

あるのかよくわからなかった千代と

好対照だ。他の犬にお腹や顔をかまれても、

懲りもせずまた走り寄っていく

下半身が麻痺して車いすを着けてやると、

あっという間にマスターし階段を駆け下りていく。

さすがに上るのは無理だったが、急坂を

必死に登る姿には心を打たれた

私たちには吠えなかったが、お客様がくると

ワンワン吠えまくる。知っている人でもお構いなし。

半分は歓迎の意味もあったのかもしれない。

唯一の例外がポーママ。

犬のことをしっかり勉強し、マッサージや

犬のセラピーもマスターしているのが

わかるのか、おとなしく頭をなでられ

デレデレしていた

或る意味で千代よりも目立っていたみたいで、

死んだ時は思いもかけぬ人からも

声をかけられた。　ケンちゃんが車いすで必死に

歩いている姿に、どれだけ励まされれたかと

車いすの犬ということで目立って

いたこともあるが、やっぱりひたむきに

前を向いて歩いている姿が印象的だった

のだと思う。死ぬ前日まで元気に

散歩をしていたが、あっという間に

息を引き取ってしまった。

千代もケンも最後は手を煩わさず、

親孝行な犬だったな